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島崎あきさんの和の心シリーズ、商社マンの恋を描いた「MITSUBA」

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島崎あきさんの、第2弾「和の心シリーズ」の「MITSUBA」を読みました。こちらも前回のシリーズと同様に5冊から成ります。他にこの5冊中の「YAMABUKI」もすでに読了しているので、後日紹介します。

MITSUBAとは、トレーフル(フランス語で三つ葉という意味)という名のカフェで約束を交わした主人公が、恋人と会うときに使う二人だけの秘密の待ち合わせ場所のことです。

主人公は、戦後の日本を支える商社マン、5ヶ国語を駆使し、自分の私生活を顧みず、適齢期なのに結婚も見合いもせず仕事に没頭しています。その主人公が、完璧なまでに美しく気品を備えた自社の受付嬢と社外で親密になり、「トレーフル(フランス語で三つ葉)」という名前のカフェで、将来を約束しますが、仕事関係の大切な重要顧客が二人の間に……

という簡単に言えば、商社マンの叶わない恋の話なのですが、詳細な時代背景の描写や、その頃の戦後の日本を立て直したい日本人の心を、生き生きと描き表していて、非常に興味深く読めました。

現在、40台後半〜60台の方は、読んでみると、あの時代の勢いのある日本が非常に懐かしく感じるのではと思います。

石油ショック後の、バブル前の日本を支えた商社マンの生き方は、今の若い世代にも自分と仕事の在り方を振り返るきっかけにもなるのでは。

しかし、フランス人から見ると、この商社マンの生き様はどう映るのだろうか?週35時間労働とは程遠く、過労死といったキーワードも出てきます。あの魔法のような日本の戦後の成長を支えた日本人の心を感じるのだろうか?企業ロボットのように感じるのか?それともサムライの心を感じるのか?気になります。

同シリーズの「TSUKUSHI」は、この女性の側からの視点で、同じ話が描かれているようなので、こちらも気になります。

フランス語も島崎あきさんの他の本と同様、非常に読みやすいので、初級者からチャレンジできるのではないかと思います。