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Letitia Colombaniの2作目、Les victorieusesを読みました 

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昨年、レティシア コロンバニ の La Toresse(邦題:三つ編み)が非常に面白かったので、今年の夏は、フランスに行った際に新作のLes victorieusesを入手し、読了しました。三つ編みは、30ヶ国語に翻訳され、現在映画化が進んでいるようです。

 

このLes victorieusesは、現代のフィクションとBlanche Peyronという100年前の実在の女性の伝記が、交互に語られながら進んでいく作品です。三つ編みもインド、イタリア、カナダと3つの舞台が三つ編みのように展開し、絡み合っていく話なので、作者はこうした作風が好きなのかもしれません。

Les victorieusesは、日本語に直訳すると「勝者達」となりますが、話は「勝ち組」というより、「負け組」の話です。

 

Blanche Peyronは、1867年生まれ、その生涯を救世軍の活動のために費やします。1925年にパリ11区にある、巨大な現在使われていない建物を新聞記事で見つけます。元々この施設は、1910年に独身男性のために設立されたものでしたが、第一次世界大戦後、使われなくなっていました。

この建物を取得し改装する費用な巨大なもので、この費用を捻出するため、Blancheは夫と共に身を粉にして寄付を集めます。Blancheは一目見た時から、この建物を恵まれない女性達のための施設にしようと計画を立てます。翌年、彼女の努力は身を結び、女性館「Palais de la femme」として施設を開始します。

 

En 1925, elle parvient à reunir les fonds necessaires pour acheter un grande hotel de afin d’y loger des femmes dans la précarité. Ce qui sera nommé par la suite le Palais de la femme ouvre ses portes l'année suivante.

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こちらの写真が11区にある女性館です。パリの中心地にふさわしい、とても素敵な建物ですが、住んでいるのは、移民やホームレスやドメスティックバイオレンスの被害者の女性達です。

そして、もうひとつの現代のフィクション:ここでの主人公Solèneは、キャリアのために一生懸命に生きてきた女性弁護士、仕事上の失敗で自分に自信をなくし、昔からの夢だった「物書きになりたい」という夢を思い出します。物書きのボランティアという仕事を見つけ、最初は戸惑いながらもこの女性館で、恵まれない女性達のために代筆を始めます。その中で様々な女性達に出会い、自分を取り戻していくという話です。

この施設の女性達が、非常に個性的です。頑ななまでに自分の習慣を代えない人や、トラウマに苛まれる人、娘を守るために息子を捨てて移民した人や、物語を彩る色が非常に鮮やかで、エスニックなミュージックと香りが漂っています。

 

下のビデオは作者のインタビューです。レティシアは、11区を散歩していた際に、道に迷い、この巨大な施設の前にたどり着きます。門には女性館「Palais de la femme」とあり、Palais(パレス、宮殿)と書いてあることに興味を持ち、施設の責任者に掛け合い、施設を見せてもらい、そこに住む女性達や従業員やボランティアの人々の話を聞くことができます。そこから、この話を書くことにしたとインタビューで答えています。

実際、この施設には、個性や生き様が異なる、40カ国もの言葉が飛び交ってるそうで、この女性達の逆境に感銘を受けたようです。

 

www.youtube.com

www.francetvinfo.fr

本自体は、Solèneのパートは読みやすいのですが、Blancheのパートは私にとって少し読みづらかったです。筆者が現代のフィクションを織り交ぜながら話を展開したのは上手だなと思いました。Blancheは非常に素晴らしい女性で、伝記を書くべき人物だと思いますが、ただの伝記であれば、読み物として物足りないと思いました。