「パパは誰も殺さなかったよ」初心者でも挑戦できる、著名フランス人作家の自叙的エッセイ
Jean-Louis Fournierの「Il a jamais tue personne, mon papa」を読みました。全141ページ、66章に分かれてて、1章は1ページたらず。約半分が白紙という短いエッセイです。子供がパパの事を思い出しながら、色んなエピソードを交えながら、パパの人となりをユーモアを交えながら語っていくという内容です。文体には単純過去は出てこないので、読みやすいです。
章によっては、分からない単語が出てくるところもあるけれど、ある章はスラスラ読めたり、エッセイなので、飛ばしながら読むことも可です。
読みやすいのですが、話が繋がっていないので、最初の半分はスラスラ読めたものの、後半はちょっと繰り返し気味の内容に、面白味をなくしてしまいました。
===あらすじ(というほどの筋はないのですが)===
僕は神様にお願いした。パパがお酒を飲まないように、そしてママを殺さないように…
僕のパパはドクター。他の医者が治せない病気なんかも治せる優秀なドクター。貧乏な人からはお金をとらない。パパはお酒をいつも飲んでいる。いつもビストロに入り浸っている。暴力は振るわないけど、僕たちにひどいことを言う。家の外では人気者。ビストロの改修工事の費用負担などを断れないので、家にはお金がない。フィルター無しでタバコをいつも吸っている。しょっ中、自殺未遂もしている。。。
様々なエピソードが語られているけど、以下のエピソードなんかは悲しすぎると思いました。
"パパはビストロに入り浸ってるけど、まれにビストロに行かないことがあった。ママはワインを買ってきたけど、パパは手をつけなかった。彼が必要なのはビストロに行って、友達と会うこと、彼の人生はそこにあり、私達の所にはなかった。"
"パパが死んだ時、新聞記事に「博愛者、この世を去る」と書かれていた。博愛者って辞書で調べたら、「すべての人に愛を与える人」とあった。じゃあ、多分僕はまだ「人」じゃないのかな?"
作者は言っています。
"Le bonheur, c'était tout simple. Il suffisait que papa soit gentil, alors maman devenait heureuse, et nous les enfants avec."
"幸せとは、とてもシンプルなものだった。パパが優しくて、そうするとママが幸せで、子供達も一緒で、それで十分だった。"
結局パパは43歳で、作者が15歳の時に亡くなりました。
お勧めの1冊ではあるけど、経験上、私は読み進めると心が乾いていく感じがしました。私も優しいパパが欲しかったなと。