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エリック エマニュエル シュミットの「モモの物語」の原作

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エリック エマニュエル シュミットの「モモの物語」というタイトルで翻訳されている本の原作を読みました。"Monsieur Ibrahim et les fleurs du Coran" 、直訳するなら、「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」、その題名で映画化もされています。全75ページ。

 

主人公のMoise(モアーズ)は13歳、ユダヤ人、生まれてすぐに母に捨てられ、愛情のない父親とパリに住んでいます。近所に住むアラブ人で食材屋を営むイブラヒムおじさんの店で万引きをします。イブラヒムおじさんは、万引きをしてるのを知りながら、やるならうちでやりなさいと言ったり、売春婦との駆け引きやなどを彼に教えてあげたりします。イブラヒムおじさんは彼のことを「モモ」と呼びます。「モモ」とはイスラムの男の子の名前、モハメドの愛称です。ユダヤ人の彼に「モモ」なん

て。。。

そのうち、父親は仕事を首になり、少しのお金を残して、家を出てしまいます。その後、父親は電車に飛び込み、自殺してしまいます。

イブラヒムおじさんは、そんなモモを養子に取り、2人でおじさんの故郷に旅にでいます。そこでモモはイスラム教に触れ、彼の中のわだかまり(自分を捨てた母の事、自殺した父のこと)を吹っ切っていきます。

しかし、イブラヒムおじさんは事故にあって死んでしまいます。モモは彼の食材店とコーランを引き継ぎ、生みの母とも少し交流を始めながら、生きていくという話です。

 

短い中に、人生についてのエッセンスがたくさん詰まっている、エリックエマニュエルならではの素晴らしい本でした。ユダヤ人とイスラム人と、世界ではは対立しがちな関係性を、パリの人生のるつぼのようなブルー通りで、人と人としての交わり、その中で成長していくモモの姿を通して、明るいものとして描いています。

エリックエマニュエルの本、短いし、読み応えもあるし、これからも引き続き読みたいです。