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La Tresse インド、イタリア、カナダと異大陸の3人の女性が困難に立ち向かう、感動の名作

 

La tresse

La tresse

 

たまたま入ったフランスのフナックで平積みになってた書籍。期待通り、非常に興味深い内容だったので、紹介します。

 

■作者について: 

レティシア コロンバニは、脚本家であり、映画監督であり、女優。

彼女の代表的な2つの長編作品、À la folie... pas du tout「愛してる、愛してない…(邦題)」とMes Stars et Moiの脚本と監督をしています。La Tresseは彼女の初めての小説です。

注)À la folie... pas du tout「愛してる、愛してない…(邦題)」は、アメリオドレイ・トトゥ主演の作品であり、日本でもヒットしています。

 

 

■ネットや新聞・雑誌での書評: 

• Prix Relay des voyageurs lectures (ルレ旅行者・読者賞)

• ”La Tress ” は世界中で熱狂を巻き起こす(パリマッチ)

• この小説の中に全てがある。音楽、リズム、サスペンス、強くて素晴らしい主人公たち、そして心を締め付けるプロット(La Grande Librairie(テレビ番組)のフランソワ ブスネル)

• ノーと言える力を見つけた3人の女性たち(雑誌ELLEのオリビア ドゥ ランベルテリー)

• 雑誌社のインタビューで、すでに16カ国が翻訳の版権を得ていると答えています。(ドイツやスペイン等ですでに翻訳出版済み)

 

 

 

■概要: 

3人の女性、3つの人生、3つの大陸。自由への渇望。インド。スミタは、不可触民。彼女は娘が自分と同じような悲惨な状況から抜け出し、学校へ行って欲しいと願っています。シシリア。ジュリアは、父親の経営する工房で働いています。父親が事故にあった時、彼女は家族経営のその会社が破産状態であることを知ります。カナダ、サラ、弁護士事務所のキャリアウーマン。もう少しで夢に届きそうな時、癌に罹患します。それぞれが困難に見舞われる中、妥協することなく、自分の意思を貫いて行く3人。3つの物語が絡み合いながら、一つの形を成し(サラのカツラ)、それぞれの希望へと繋がって行きます。

(以下3人のストーリーは、細かく、まるで三つ編みを編むように絡み合いながら進んで行くます。)

 

 

 

■あらすじ(詳細): 

インドのスミタはDalitと言われる不可触民。地域の人糞を集めおこぼれをもらい生活している。ラリタという6歳の娘がおり、彼女には学校に行ってもらい、読み書きを学ばせ、自分とは別の人生を送ってもらいたいと思っている。学校入学初日、ラリタは先生に鞭に打たれ帰ってくる。ラリタは学校で差別され、強要された侮辱的な事を拒否したのだった。スミタは絶望し、村を出る決意をする。それは、命をかける逃亡でもあった。親戚のいるシャナイという村に行く旅は、壮絶な過酷なものであった。スミタはその村に行く前に、ティルパティのヴェンカツワラ寺院へ参拝し、髪の毛を奉納する。これからの彼女と娘の新しい人生のためだ。

 

 

一方、イタリアのシシリアのジュリアは、約100年続く家族経営のカツラ会社の工房で働いている。ある日社長である彼女の父親が事故に遭い、昏睡状態に陥ってしまう。ジュリアは父を見舞い仕事に精を出すが、偶然知り合ったカマルというインド人に強く惹かれ、秘密の海岸で秘密の逢瀬を重ねる。ジュリアは、父の書斎で工場が大負債を抱えている事を知る。このままでは、工場や会社の閉鎖、家も失ってしまう。そんな時、カマルがインドの寺院で奉納される髪の毛を使い、ビジネスを再稼働させる事を提案する。家族の大反対を受けながらも、従業員の支持により、インドからの髪の毛を使い工場を活性化し、ビジネス拡大を成功させる。

 

 

カナダの有名な弁護士事務所で働くサラは、3人の子持ちシンブルマザー。出世を生き甲斐とし、それ以外を垣間見ない日々を送る。出産も隠し通し、休む事なく乗り越えてきた。しかし、ある日裁判所で口頭弁護中に倒れてしまう。その後の病院の検査で乳がんである事がわかるが、今まで通り、通院や治療の事を隠し通しながら、仕事を乗り切ろうとする。しかし、彼女の癌治療は会社に知られることになり、陰険なやり方で失業を余儀なくされる。生き甲斐だった仕事を失い、落ち込むサラ。さらに治療の副作用によって、見た目は病的に衰え、髪の毛まで失ってしまう。勧められたカツラのブティックを訪ね、自分に合うカツラを見つけ、鏡の中の自分に希望を見出すサラ。今までの仕事中心だった自分の生活を反省し、家族と共に新しい自分を取り戻して行く。

 

 

 

■登場人物: 

• スミタ(インド人、既婚、6歳の娘あり)Dalit(ダリット)と言われる不可触民。カースト制度の外側に属し、ヒンドゥー教の最下層階級に当たる。人糞を集め、少しの手当をもらっている。6歳の娘がおり、娘には他の人生を送ってもらいたいと切望している。

• ジュリア(イタリア人、シシリア在住、20歳、カツラ工房のご令嬢)ランフレディ家の経営する家族的であり、優れた技術を持つカツラ工場で働く3人姉妹の次女。16歳の時に高校を中退し、実家の事業を助けることに決める。

• サラ(カナダ、モントリオール、弁護士、3人の子持ちシングルマザー)Johnson & Lockwoodという弁護士事務所で働く。1秒とも無駄にしない仕事ぶりで、驚くべき速さで出世し、次のトップになるまで上り詰める。3人の子供がいながらも、私生活は犠牲にしがち。

 

 

■感想:

• 地球規模で描く、女性の強さの話。日本人の女性にも読んで欲しいと思います。

• この物語を読み終わるまで、何回涙を流したでしょう。スミタの生まれの悲惨さ、インドの下級階級の生活の困難さ、それを乗り越えて行く強さ。ジュリアのどん底からの成功、サラへのいたたまれない会社の冷酷さ、癌に負けそうになりながらも、乗り越えて行く強さ、初めて生まれた母親としての反省と自覚。女性の極端なまでの人生の全てが詰まって凝縮されています。

• 特にインドのスミタの話は、私たちの想像を超えるような壮絶さがあります。残酷で悲惨だけど、本を読んでその世界を知りたいという興味をそそると思います。

• 物語は、スミタ→ジュリア→サラ→スミタ……というように、細かく三つ編みを編むように進んで行くます。それぞれの人物のその先が知りたくて、ページをめくりたくなります。

• 個人的に、将来、映画化されると思います。(作者自身が映画の脚本家として有名なので)

 

作者のインタビュー


Laetitia Colombani signe son premier ouvrage avec « La tresse »