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大人も感動する9〜11歳向きの本「Momo, petit prince des Bleuets」

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フランス語の先生に勧められて、教材として使った本です。

 

MOMOというのは主人公の男の子で、夏休み明けには中学生になる11歳の男の子です。本名はモハメド、移民の子供です。MOMOの家は貧乏子だくさん、父親は働かずぶらぶらしている。ピュアでいい子なのですが、学校での成績が非常によく、MOMOの母親は校長先生から直々に、勉学を続けて欲しいとお願いされます。MOMOは夏休みの課題として校長先生からおすすめの本を紹介され、図書館で借りて読んでいきます。いつものように、彼がベンチで本を読んでいると、エドワードという老人と知り合い。。。

 

フランス語は簡素ながら、フランス社会、移民社会、格差など、大人も非常に考えさせられる本で、感銘を受けました。シリーズ化しているようなので、別の本もよんでみたいです。

 

島崎あきさんのLe Poids des SecretのシリーズのHamaguriも読みました。

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島崎あきさんのLe Poids des SecretのシリーズのTSUBAKIに続き、HAMAGURIも読みました。こちらは、ゆきこの幼なじみであり初恋の人である、ゆきおの視点で同じ”秘密”について描かれています。こちらも面白かったです。

島崎あきさんですが、彼女のインタビューを見つけました。彼女の言っていること、非常に納得です。

「大人になってから学ぶ言葉をパーフェクトに習得するのは無理ですよ。今でも辞書を引きながら新聞を読んでいます。でも、毎日が勉強なので退屈することがないですね」と微笑む島崎さんの日課は毎朝2時間ぐらい辞書を引きながらLe Devoir(フランス語の知的派新聞)を読むことだそうだ。モントリオールについては「ここの人は良く言えばおおらか、悪く言えば大雑把ね。でもおおらかでないと芸術は育たないと思うわ」と語り、「生きるということは何か自分にできる最大の力を見出して社会に貢献することではないかしら。モントリオールは日本と比べて家族行事や親戚の集まりが少なく人間関係がシンプルだから自分の時間がたくさんあるわね。だから基本的なもの(子育てなど)以外に何か熱中できる仕事や趣味がないと落ち込んじゃうと思うわ」

と話す。若い日本人の人を見るたびに何か見つかるといいのに、と思う島崎さんのお話を伺って私が一番励まされたような気がします。

 

 

 

日本人作家がフランス語で書いた、シリーズ第一弾、Tsubaki

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島崎あきさんという女性が、カナダに移住後、フランス語で本を書き始めました。

この本は、彼女の最初の作品です。Le Poids de Secretのシリーズから5冊でています。この本はそのシリーズの第一弾

 

おばあさん(ゆきこ)が、自分の幼い頃の秘密を、娘に託した手紙という形で語ります。第二次世界大戦の話で、長崎に住んでいたゆきこは、被爆しますが、その時に誰にも語らなかった秘密があり。。。

このシリーズの5冊は、同じ話を別の語り手から、別の視点で語ったものです。だから、主人公の心理がとてもよく描かれていて、どの本から読み始めても面白いと思います。このシリーズでは、このTSUBAKIとHAMAGURIを読みました。

この作家の島崎あきさんは、1991年からモントリオールへ移り住み、1999年にこの本を出版しています。フランス語はモントリオールへ移住した後、1995年から始めたそうなので、たったの4年でこの様な本がかけるなんて、素晴らしいですね!

授業中に学んだ、ハンガリー人作家であるAgota Kristofの三部作に共感と衝撃を受けて、小説を書き始めたとのこと。Agota Kristofハンガリーからスイスに移住し、その作品は簡素なフランス語で書かれているそうです。

島崎あきさんの作品も、簡素なフランス語で書かれていて、とても読みやすいです。フランス語で、児童書以外の作品にチャレンジしたい時に最適な作品だと思います。

 

Marc Levyのサスペンス。Si c'était à refaire

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Marc Levy の Si C'était à refaire を読みました。久々の読書です。Delfテストを受けていたので、読書から遠ざかってましたので、読書に取りかかるのが、辛かったです。brocheで読んだので、トータル410ページでした。

 

以前読んだ、Le sentiment plus fort que la peurの前の作品で、こちらにもニューヨークタイムズの記者のアンドリュー スティルマンが出てきます。Le sentiment〜の最初に、アンドリューが生き返った記述があるのですが、その通りこの本の最後にアンドリューは死んでしまいます。

 

本の最初の1/4くらいのところで、アンドリューは何者かに殺されてしまいますが、そこから3ヶ月前にいきなりタイムスリップし、その3ヶ月間を、彼を殺した犯人探しと、彼が取り組んでいるアルゼンチンの独裁時代の記事の取材に明け暮れる日々が描かれています。それと、幼なじみで偶然ニューヨークで再会したヴァレリーとのすとも。

 

マークレーヴィなので読みやすいのですが、いきなり過去に飛んだり、いきなり2週間がすぎてたり、仕立て屋の親父が彼のタイムスリップを知ってたり…突飛のないストーリー展開です。

さらにアンドリューが取材した、中国孤児の記事や、アルゼンチンの記事は、その内容のあまりにも残酷な記述に、読んでいて暗い気持ちになります。また、アンドリューの元に忍び寄る死の影や、犯人が近くにいるのではという切迫した気持ちをひしひしと感じ、まさに悪夢を見そうになります...

 

この本の中に、Si c'était vrai に出てくる引退した刑事が出てきます。ローランスとアーサーに子供が生まれ、家族のような付き合いが続いているという、人気小説の続きの話が少しだけ出てきます。

 

最後は結末が気になって仕方がなく、一気に読み終わり、2週間で読了です。

エリック エマニュエル シュミットの「モモの物語」の原作

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エリック エマニュエル シュミットの「モモの物語」というタイトルで翻訳されている本の原作を読みました。"Monsieur Ibrahim et les fleurs du Coran" 、直訳するなら、「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」、その題名で映画化もされています。全75ページ。

 

主人公のMoise(モアーズ)は13歳、ユダヤ人、生まれてすぐに母に捨てられ、愛情のない父親とパリに住んでいます。近所に住むアラブ人で食材屋を営むイブラヒムおじさんの店で万引きをします。イブラヒムおじさんは、万引きをしてるのを知りながら、やるならうちでやりなさいと言ったり、売春婦との駆け引きやなどを彼に教えてあげたりします。イブラヒムおじさんは彼のことを「モモ」と呼びます。「モモ」とはイスラムの男の子の名前、モハメドの愛称です。ユダヤ人の彼に「モモ」なん

て。。。

そのうち、父親は仕事を首になり、少しのお金を残して、家を出てしまいます。その後、父親は電車に飛び込み、自殺してしまいます。

イブラヒムおじさんは、そんなモモを養子に取り、2人でおじさんの故郷に旅にでいます。そこでモモはイスラム教に触れ、彼の中のわだかまり(自分を捨てた母の事、自殺した父のこと)を吹っ切っていきます。

しかし、イブラヒムおじさんは事故にあって死んでしまいます。モモは彼の食材店とコーランを引き継ぎ、生みの母とも少し交流を始めながら、生きていくという話です。

 

短い中に、人生についてのエッセンスがたくさん詰まっている、エリックエマニュエルならではの素晴らしい本でした。ユダヤ人とイスラム人と、世界ではは対立しがちな関係性を、パリの人生のるつぼのようなブルー通りで、人と人としての交わり、その中で成長していくモモの姿を通して、明るいものとして描いています。

エリックエマニュエルの本、短いし、読み応えもあるし、これからも引き続き読みたいです。

絵本: CHEN Jiang Hong の「小さな漁師と骸骨」

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 今回は絵本を紹介します。日本で言えば、小学生1〜3年生向きくらいです。

それくらいの対象で、日本の絵本で好きなのは、スーホーの白い馬、ウェズレーの国、おしいれのぼうけん、モチモチの木などですね。絵も話の内容もとっても好きです。

 

この墨絵を基本にした、あまり色を使わない絵の中で、とても生き生きとしたダイナミック挿絵が印象的でした。また、中国人作家でありながら、インターナショナルに活躍する作者の絵は異国情緒を感じられました。

 

あらすじ

小さな漁師は街中の海沿いの小さな家に1人で住んでいる。ある日漁に出かけた。空が暗く、嵐が来そうだった。少年は以前父が言っていた事を思い出した。「空が墨色の日にゃ、漁に出てはいけないよ」しかし、少年は漁に出て、嵐に巻き込まれる。その時、海から骸骨が現れた。少年は骸骨を突き飛ばし、沖に向かって必死に漕いだ。だが、舟に骸骨がしがみついていた。

少年は岸に着き、そこで骸骨を見て気を失ってしまう。骸骨は、少年を彼の家まで運び看病するが、自分の骸骨の姿を鏡で見て、ショックを受け、家の外でうずくまってしまう。気を取り戻した少年は、骸骨に食事を与える。残り少ない魚を焼いてあげる。骸骨はむさぶるように食べたのち、立派な漁師の若者の姿に変わる。

その漁師は、以前嵐の日に嵐に巻き込まれ、骸骨になってしまったのだ。彼には家に置いていた息子がいた。その後若者の勧める漁場で、小さな漁師は、今までにないくらいの大量の魚を確保する。父のない小さな漁師と、骸骨になってしまった子のいない漁師は、その後2人で暮らしていく。

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チェン ジャン ホン
1963年中国・天津に生まれる。1979年天津美術学校に入学し、その後難関として知られる中央美術学院に進学。1987年に卒業後、パリのエコール・デ・ボザールに学ぶ。渡航後は、フランスのみならず、イギリス、スイス、ベルギー、イタリア、そして香港など、世界各地と活躍の場を広げる。2007年にはギャルリーためながパリ店にて個展を開き、渡仏20年以来初となる中国での個展でも高い評価を得、現在では世界のコレクターかA注目を集める存在へと成長。 東洋と西洋、伝統と革新の調和を探求するチェンは、墨と油彩を自在に操る独自の技法を確立。ぼかし、滲み、飛沫を重ねあわせ、実に表情豊かな濃淡を生み出す。その静謐な空間は、宇宙の無限の広がりすら感じさせる。現在は、パリにアトリエを構え、「蓮」のシリーズに着手している。

 

筆者の他の絵本

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Agnès Ledigの「幸せの少し前」を読破。やっぱり涙が。。。

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以前、途中まで読んでいたAgnes Ledigの「Juste avant le bonheure」を読了したので、紹介します。全327ページ。英訳本、邦訳本共になし。

以前の記事は下で参照してください。

letoilefilante.hatenablog.com

 

本の前半のあらすじは上記のリンク参照

 

この本の半分くらいのところで、主人公シングルマザーJulieの3歳の子、ルドビック(Lulu)が交通事故で重症を負い、本の2/3くらいのところで、死んでしまいます。

Luluがまさか死んでしまう展開になるなんて、思ってもなかったので、涙でそのあとが続けて読めなくなりました。

シンプルな文体、たまにポエムのような散文を挟みながら、主人公の気持ちを手に取るように描写してるため、非常に感情移入してしまいます。

 

後半の1/3は、その信じられないような、究極のどん底から、主人公がどのように日常を取り戻し、Luluがいない日々をどのように受け止めていったのか。そして、幸せを感じるようになるまでの事が、短い章とエピソードを挟みながら、描かれています。

 

JulieはPaulからのサプライズで引越しをさせてもらい、

Romainと共に山登りを始め、

Paulにプレゼントしてもらったピアノを弾き始め、

思いやりのあるジネコ(助産婦)に出会い、下の問題も解決章し、

Romainと心を深く通わせ、愛し合うようになり

多くの友達の助けによって、少しずつ日常を取り戻していきます。

 

それから3年。JulieはRomainと一緒に住んでいます。きらいだったレジの仕事をやめ、生物分子学のリサーチャーになります。Luluの妊娠、勘当され絡を絶っていたた実父は死に、実母とはすこしずつ連絡を取っています。そして思い出のブルターニュに出向きます。PaulとManon、JeromeとCaroline、JulieとRomain、大好きな3カップル9人で!なんとそれぞれ同時期くらいに妊娠していたのです。お腹の中のベビーと共に。

 

最後は自分の腕にベビーを抱いて、幸せを感じるJulie

幸せなのは、きっといつもLuluが一緒だから。。。

 

これほどまでに主人公がどん底に陥ってしまう小説は日本にはないんじゃないかと思うくらい、悲しいお話でした。それでもAMAZONフランスでの評価が高いのは、意外にフランス人はこういった暗い話が好きなのではないかと。本を読んで涙を流したいと思っているのかなと思いました。AMAZONフランスで低い評価をした人は、「気晴らしに読もうと思ったのに、何!涙が止まらないじゃない!涙が枯れ果てました。気分を変えたい読書には不向きです」とありました。私も同意します。

 

文章は、単純過去が出て来ないみたいです。基本、現在形で書かれているので、単純過去の心配を必要としません。単語もあまり難しいものは出てきません。でもなんとなく読みにくい感じがします。きっと比喩とか言葉の使い回しなどが馴染みにくいのかなと思いました。

でも、単語と文法の観点からして、中級者にオススメの本です。